院長コラム

2019.11.20 『歯を失ってしまったら』

う蝕(むし歯)や歯周病、事故などさまざまな理由で歯を失うことがあります。自分の歯をなくしたという事実は大変ショックでしょう。しかし、歯が抜けてしまったからといって、あなたの素敵な笑顔をあきらめる必要はありません。審美歯科治療には若々しい容貌と本来の歯の機能を取り戻すことができる様々な方法があります。

失った歯を修復するための治療法は、コアにクラウンを被せる方法(いわゆる差し歯)、ブリッジ、義歯(入れ歯)、インプラントに大別されます。

差し歯は歯冠(歯の頭の部分)だけ失い、歯根(歯の根っこ)が残っている場合に適応されます。歯根にコアという芯棒を立てて、その上にクラウン(被せもの)を装着するものです。歯根まで失ってしまった場合や歯根の状態が悪い場合には適応されません。

ブリッジは失った歯が少ない場合に多く適応されます。失った歯の両隣の歯を削って、歯のない部分にダミーの歯をつなげた橋渡しをしたクラウンをかぶせる治療法です。失った部分の前後の歯がしっかりしていないと適応が難しいことがあります。また、歯の
生えている方向によっては先行して神経を取る必要がある場合もあります。

歯を失い、歯科医院を訪れたら、歯科医師から「ブリッジはどうですか?」と勧められることが多いかもしれません。セラミック
ブリッジは見た目も天然歯に近くすることができ、機能的にも優れています。あなたの笑顔はまるで今まで、う蝕(むし歯)がなかったか、または歯を失ったことがなかったかのように美しく回復します。保険適応のブリッジは一部を除いて銀歯となります。

一方、多くの歯またはすべての歯がなくなった場合、作製するのが義歯(入れ歯)です。義歯には残っている歯にクラスプ(バネ)をひっかける部分床義歯(部分入れ歯)と歯が全てない時に吸盤のように吸着させる総義歯(総入れ歯)があります。義歯も噛むという機能や容貌を取り戻すことに有用ではありますが、自分の歯と比較するとやはり限界はあります。


2019.10.30 『歯を抜く前に知っておいてほしいこと』

う蝕(むし歯)や歯周病、歯の破折など、いろいろな原因によって歯を抜かなければならなくなることがあります。歯科医院に行き、「もう抜かなければなりません」と言われてショックを受けることもあるでしょう。「むし歯が深いから」「根っこの病気が
大きいから」と言われて抜かれた経験がある方も多いのではないでしょうか。

揺れが大きかったり、明らかに歯根が割れているケースでは歯を抜かなければならないことが多いです。しかし、時には患者様が
思われる見た目がきれいな歯を抜かなければならないと診断されることもあります。見た目がきれいでも、歯周病や根の先の病気で骨が溶けていると、膿んだ歯のバイ菌が全身に流れる可能性があり、早めに抜歯した方が良いとの考え方もあります。
また、アメリカや北欧では日本より抜歯の基準が低く、比較的早期に抜歯する傾向があり、それに倣った考えをもつ歯科医師であれば抜歯を勧めることが多いのかもしれません。可及的な保存を行うか、抜歯を行うかは歯科医師による解釈の違いが大きいところです。将来的なお口の中の見通しを立てつつ、患者様の希望を考えると私自身も判断に苦慮するときがあります。

私の知っている限りでは、健康な歯を無理に抜いてインプラントを勧める歯科医師はおりません。いきなり「抜きましょう」と言われ、不安に思った場合は、担当医にもう一度よく相談してみて下さい。どうしても抜かなければならない場合以外は可及的な保存の方法をきっと考えてくれるでしょう。

一度抜いた歯は二度と生えてきません。インプラント治療によりある程度機能・審美的に回復させることができるようになりましたが、自分の歯より良いものはありません。歯を抜くことに対して慎重な態度でいることも大切だと思います。


2019.10.16 『良い歯は健康のもと』

歯は健康と美しさを維持するうえで重要な役割を担っています。

健康の面でいえば、食事のとき、歯で良く噛むことは長寿の条件の一つと考えられています。歯が失われれば、食べられない物が出てくるため、栄養のバランスが崩れやすくなりますし、よく噛まないまま物を呑み込めば、消化器官に負担をかけることになります。

また、よく噛むことで、唾液の分泌が促されます。唾液には抗酸化作用や抗菌作用をもつ成分が含まれていることが報告されています。さらに、よく噛むことは脳の活性化につながり、認知症を予防するとも言われます。実際、歯が多く残っている人や義歯(入れ歯)でしっかり噛めている人は、認知症になるリスクが少ないとの報告があります。

もちろん歯を失うと容貌の変化も生じます。老若男女、誰しもできれば一生義歯など入れずに綺麗な自分の歯で過ごしたいと考えているのではないでしょうか。 つまりこれらから、歯が失われると、深刻な健康上の問題が引き起こされ、容貌も変化する可能性があるということです。


2019.08.28 『インプラントの難症例とは?』

インプラント治療は歯を失ったところに、ネジのようなもの(フィクスチャー)を顎の骨(歯槽骨)に埋め込む治療法です。なお、「インプラント」は日本語では「人工歯根」と訳されます。

人工の歯根を骨の中に埋め込むため、歯周病や加齢などで顎の骨(歯槽骨)が十分に残っていない場合には、すぐにインプラントを埋め込む事ができません。骨が非常に少ないところへのインプラント埋め込み(埋入)手術には、土台となる骨を誘導、移植するか、神経を移動する必要があります。当院では、特に難症例の場合には三井記念病院の津山医師、東京大学病院の西條医師を招聘し、骨移植を行わず土台部分の骨を形成するサイナスリフト法(上顎洞底挙上術)や、腸骨移植による骨造成術や下歯槽神経移動術を担当して頂いています。

2007年には東京の歯科医院でインプラント治療を受けた患者様が亡くなるという事態が起きてしまいました。私たちはこのようなことが起こらないように、術中に細心の注意を払うことはもちろん、術前にも十分なrisk/benefitの説明と話し合いを重ねて、ご納得頂いた上で最適の治療を進めていくことを最も大切にしています。


2019.08.07 『インプラント治療を提供できて良かった』

前回、前々回のコラムのように喜んで頂ける患者さんを見るたびにインプラント治療を提供できて良かったと心から思います。
今から約30年前、当院でのインプラント治療を開始したばかりの頃は、最新医療を徳島で提供したいという想いが先行していましたが、今はどんな最新の医療技術も設備も患者さんの求める生活を実現するための手段に過ぎないと思うようになりました。

噛むことによる刺激は認知症予防にも繋がるとの報告もあり、いつまでも健康でアクティブな生活を送れるようにするためには、何でもしっかりと噛んで食べられることが必要不可欠です。総入れ歯も良いのですが、口腔の複雑な動きの中ではどうしても動いて満足に噛めなかったり、樹脂という材料の特性上、経年劣化したりしてしまいます。
また、入れ歯の姿を他人に見られたくないという方も多くいらっしゃいます。自分の歯と同じような見た目で、しっかり噛めるインプラント治療は本当に意義深いと強く感じています。

インプラント治療は何もご高齢の方だけのものではありません。事故や虫歯のために歯を一部分だけ失った方にも有用な治療方法です。理由によらず、歯を失った方の生活を取り戻すことが出来る、それがインプラント治療です。


2019.07.31 『すばらしい患者さんとの出会い(2)』

前回のコラムに続き、もうひとりご紹介したい方がいらっしゃいます。この方は70代の女性の方です。下顎の入れ歯が動いて食事をすると痛いので、新しくしたいと来院されました。

作成時にはしっかりフィットしている入れ歯でも、時間と共に顎の骨がやせてきて、どうしてもずれてしまいます。インプラント治療も提案しましたが、費用面から保険の範囲で入れ歯を作ってほしいと強く希望されました。
総義歯(総入れ歯)を作成し、何度か調整を重ねるうちに、食事中の痛みはなくなったようですが、表情などからあまり満足されていない御様子でした。気になっていたところ、突然息子さんから電話が掛かってきました。息子さんは「費用は自分が責任をもって支払うので、母にインプラントを入れてあげて欲しい。」とおっしゃったのです。詳しくお話を伺ってみると、不便そうに食事される様子や、入れ歯を見られるのが嫌なのか、笑顔が減ったお母さんの姿がとても寂しく感じられたようです。

このような経緯があり、All-on-4によるインプラント治療を行ったところ、まるで自分の歯のように噛めると大変喜んで頂くことができました。総入れ歯が入っていた時とはまるで違う満足そうな表情がとても印象的で忘れられない患者さんとなりました。


2019.07.10 『すばらしい患者さんとの出会い(1)』

患者さんとの出会いは、私の喜びであると共に学びの機会になります。今も心に残る印象的な患者さんのお話をご紹介させていただきたいと思います。80代の男性の方です。最初に来院された時は足の手術をされたばかりで、歩行器を使っての歩行でした。あまりお元気そうではないように思いました。しかし、ご本人はとても意欲的な方で「人生は密度であり、歳だから仕方がないと諦めるのは嫌だ。」とおっしゃり、これからの人生を楽しむために色々な美味しいものを食べてみたいと強く希望されたため、インプラント治療を行いました。

インプラントを入れたことで、いろんな美味しいものを食べられるようになったと明るい表情で話されたのがとても印象的でした。手術の後も検診に来て下さりました。しばらくすると杖で来院されるようになり、やがて杖なしで通院をされるようになったのです。歯の検診だけでなく、足のリハビリも熱心にされていたようです。そのご様子を拝見して、人間は気持ち次第で元気になれると教えていただいたと共に、インプラントがご快復に役立ったのだと嬉しくてたまらない気持ちになりました。今では、奥さんとお二人で旅行もされ、その地の名物を食べ歩くことを楽しまれています。検診の際、私も各地のお土産を頂き、そのたびに喜びをかみしめています。それが何よりお元気の証拠なのですから、私も自然と笑顔になるのです。

「いくつになっても恋していたい・・・そういうあなたを全面的にサポートします。」

この当院のキャッチフレーズが浮かんだのも、患者さんの笑顔と土産話を聞いている時だったような気がします。


2019.06.26 『患者さんとの対話を大切にしています』

もともと私は人と話すことが得意な方ではなかったので、歯科医師になってすぐの駆け出しの頃は患者さんへの治療説明などは本当に苦労しました。しかし、苦手な中でも何とか分かってもらいたい一心で説明していくうちに、少しずつ患者さんから「先生を信頼しています。先生にお任せします。」といったお言葉を頂けるようになりました。そんな嬉しいお言葉を頂くことで、話す事への苦手意識より患者さんに納得して頂いた時の嬉しさが上回り、患者さんとコミュニケーションを取ることが楽しくなりました。

患者さんとの会話によって、歯科医という仕事の楽しさ、やりがいなどを分からせて頂き、それゆえに患者さんとの会話やコミュニケーションに重点を置いています。また、当院では、インフォームドコンセントを大切にし、患者様との対話の中から最適と考えられる治療法を提案し、ご納得頂けた上で治療を開始することを徹底しています。

これからも患者さんとの対話を大切にしたデンタルクリニックでありたいと思います。


2019.06.19  『院長コラム開始のお知らせ』

当院におきましては、昭和63年に開院し、皆様に支えられて今年で31年目を迎えることができました。患者様はもちろんのこと、当院に関わる全ての方のおかげであると日々感謝しております。

さて、今年は平成から令和へと元号が変わり、私どもも気持ちを新たに日々の診療に当たらせて頂いております。新たなスタートの一環として、当院のウェブページ内に「院長コラム」を作成しようと思いました。
インプラント治療のことや、日々の診療で感じたことなどを皆様に少しでもお伝えできればと考え、このコラムを始めることにしました。

定期的に更新する予定ですので、お時間ある方はご覧頂けますと幸いです。